骨の本

 別に骨が好きで画像診断をやっているわけではありません。ただ、画像診断をやっていく上でどうしても骨というか骨格に注目せずにはいられないと言うことですね。
私の師匠No.2のDr. Ronald D. Sandeが以前私に語ってくれた逸話があります。
それは、WSUVeterinary Teaching Hospitalで働いていた掃除係の人のことであったと思う。その人は、放射線科に来てはDr. Sandeと一緒にレントゲンをよく見ていたというのである。でも、この人は黙ってみてるわけではなくあれこれ質問するらしい。それはX線写真に写った骨の構造をみては、「ここの出っ張りはなんだ。何をしているのだ。じゃあ、ここのざらついた部分は何なんだ。」みたいな質問らしい。そこで、Dr.Sandeは彼の質問にハッとしたらしい。それはちゃんと答えられないからであった。もちろんそれぞれの解剖学的な部位の名称は解剖をちゃんとしていれば答えられることなのであるが、機能や形状を伴った答えとなるとちゃんと答えられないと言うことである。その掃除係の人は「これはそこに筋肉がくっついていてこちらの方向へ引っ張るからなんじゃないか。」などなど彼なりの答えを探しては勝手に予想していくのである。そして、それが合っているのである。この人は馬については詳しい人ではあったが解剖なんて習ったこともない人である。でも、動物の形や動きなどを正確に把握していれば必然的に骨格の形状などに反映されてくるのである。ということでDr. Sandeはこう結ぶ「正確な解剖はさして重要ではない、重要なのはそのものの形状や機能である。そのものの形には理由があると言うことだ。そしてそれはそれだけで美しい」と言うことらしい。
 適切に撮影された骨格はそれだけで美しい。まあ、X線写真の本ではないですけれども非常に綺麗な骨格の本が二冊あります。
BONES ― 動物の骨格と機能美骨から見る生物の進化の二冊です。興味ある方どうぞ。

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