死後のCT撮影

 とある先生から聞いた話では、とある獣医科大学では検死解剖ができないものでCT検査を行う症例を募集しているようである。これは死後に死因などを調べるためにやるCT検査のことで、人ではある程度指針が決まっているようで検死解剖などをやれない場合に有効であるという。これはPostmortem Computed TomographyといいPMCTと言われているようである。このようなことを行うことをオートプシーイメージング(Autopsy Imaging)AIというようである。オートプシー・イメージング学会もあるようですね。
 人医でも剖検率が年々低下しているようである。そんなことからこの死後CTを行う機会が増えてきているというのである。ちなみに人では1から1.5cmのスライス厚で全身を撮影するようである。後で気になるところをもう少し細かく見ていくようである。頭部と腹部では使用する電流を変えていくようである。などと言うことらしい。
 死後だと血流の変化などによって多少見え方が変わってしまうと思うけれども、有効性はありそう。CTはX線だからMRIよりは死後の変化がわかりやすいでしょう。我々獣医業界でもスタンダードができるといいでしょうね。血液は死亡と同時に刻々と変化していくので、きっと直後と時間がたったものとでは見え方が変わるのでしょうね。このPMCTを読むのにもトレーニングが必要になると思う。機会があれば見てみたいものだね。
参考までに
「ct.pdf」をダウンロード

メールでの依頼

 メールでの依頼(DICOMデータは除く)は直接フィルムを送ってくるより安い値段で読影をしている。たいがいの場合、X線フィルムをデジカメで撮影してから、メールに添付して送ってくるのである。安く設定しているのは、多くの場合ちゃんと読めないことである。骨変化の細かい部分や肺の陰影などは十分に判定ができないことが多いのである。そのようなわけで、X線所見もちゃんと書くことができず診断もままならないことが多いので、安く値段を設定している。まあいわゆるコメント程度ということです。デジカメではなくて透過原稿が読めるスキャナーで読み込めば十分読めることがある。でもこれではとてつもなく大きなファイルになるので、今の私のメールボックスには入らない。(ちょっとしたデジカメの画像でもメールボックスに入らないというのに)もうちょっと小さくしてくれればいいのにとも思う。
 フルのカラー写真では大きいので白黒写真にしてくれればもう少し小さくなると思う。でもこれがなかなかうまくできる方法がない。通常ある画像ソフトではカラー画像を白黒画像にしてくるような機能がない。でも見つけました。このソフトでは、複数枚の画像でも一気に変換可能なのである。もう一つの機能は、DICOMデーターを一気に通常の画像ファイルにしてくれることである。
XnView 外国製ですが日本語対応していてしかもフリーソフトなのです。
窓の杜からのダウンロード   http://www.forest.impress.co.jp/lib/pic/piccam/picviewer/xnview.html
 もう一つ、これは別に今回のトピックとは関係ないけれども、小さいDICOMビューアーがある。これは、ファイルをUSBメモリーの中に入れておいても使えるので、どこに行ってでも、DICOMファイルを開くことができるものである。
ezDICOM 外国製で英語のみ対応ですが軽く使えます。もちろんフリーソフトです。
専用サイトからのダウンロード http://sourceforge.net/projects/ezdicom/
それでは秋の夜長をお楽しみください。

画像診断装置関連のWeb Site

むしょーに気になったので調べてみました。今後何かの役に立つかもしれません。
富士フイルム http://fujifilm.jp/business/medical/
コニカ・ミノルタ http://konicaminolta.jp/healthcare/
キャノン http://cweb.canon.jp/medical/x-ray/top.html
Kodac 日本語のサイトが探せない!?
アロカ http://www.aloka.co.jp/
東芝メディカルシステムズ http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/
日立メディコ http://www.hitachi-medical.co.jp/
GEヘルスケアー http://japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/
シーメンス(Siemens) http://w1.siemens.com/answers/jp/ja/
フィリップス(Phillips) http://www.philips.co.jp/

エコーってEBM向きではない

 人に教えようとしていろいろ調べ出すと最近何かとEBMって言葉にぶつかる。知っての通りEvidence-Based Medicineということで根拠に基づく医療ということである。どうしてもこのEvidenceという言葉に引っかかる。根拠ということで、どの程度までが根拠でどの程度からがそれ以外なのかということである。10年以上このての仕事に携わっていると昔学んだり読んだりしたことやいろいろな経験がごちゃ混ぜになっていて、根拠なのかどうなのかよくわからない。たとえそのことにEvidenceがあるのかと聞かれてもよくわからないようなことが多い。「X線検査で心臓の大きさが大きいことと心疾患がある」と言うことで過去に論文が出ていたのか、「X線検査で腎臓の大きさの判定に第2腰椎が使用される、また、心臓の大きさの判定にVHSが使用されるが、そもそも、動物の大きさと脊椎の長さの相関関係にEvidenceがあるのか」などなど・・画像診断はいわゆるEBM的ではないかもね。
 さらに、画像診断では、画像に見られる変化を言葉で表現できないと論文でも学会でも発表できない。肝臓の実質の変化を粗造であると表現しても十分ではない。でもその粗造感を「均一に不均一」とか「不均一に不均一」などと表現していても、そもそも正常な肝臓実質が適切に表現できていないので発表できるに至らないのが現状である。「肝臓実質で低エコーのつぶつぶ感が眼に残るような感じだと浸潤かな」とか言っているのでは全然だめである。難しいね。これじゃあEvidenceにならないねえ。と言いつつ、これでは本来のEBMの解釈ではないですね。
 獣医師の中にもEBMについてちょっと思い違いをしている人がいるような気がするので使い方は十分に注意しましょう。特にEvidenceの使い方が難しいですね。なにをもってEvidenceとなるのか十部に検討しないうちからEBMという言葉が流行ってしまってイメージばかりが先行してしまって、もやはLOHAS状態ではないですか。だったらEBMも早いうちから登録商標にしてしまえばよかったのにね。
参考までに(よく理解しましょう)
EBMについて(http://spell.umin.jp/EBM.htm)
EBMのWiki
LOHASのWiki

聴診器的超音波診断機

 ポケットに入るエコー装置ですね。小さいですね。いったいいくらなんでしょう?国際医用画像総合展のシーメンズのサイトで展示されていたようですね。作動していなかったらいいですが・・・(日本では薬事未承認品のため?)。シーメンズのACUSON P10というんだそうで、詳しいことは以下へGO!
http://www.pocketultrasound.siemens.com/
アメリカで買って$9,499.00だって。びっくり価格。円高の今なら買い時か・・・。趣味の超音波みたいな感じでしょうかね。誰かハワイに行って買ってきてもうらえるかしら。通販もあるようだしね。

11月

 早くも落ち葉紅葉の話もちらほら出る季節になってしまった。あと一月で師走となってしまう。今となっては今年の目標は達成しているだろうかなどと心配するよりも、無事過ごしてきたことに感謝する以外ない。残された今年をもう少しだけ楽しんで、あと残されたこの時間で十分な力を発揮できるようにするしかない。
 超音波検査装置も新機種(いわゆる次世代装置)が多く出てきているし、今年いっぱいで出そろうようである。それぞれの装置を知ることだけでも大変である。新技術も少しずつ実用化されてきているようである。今装置で目立つのは装置の小型化とモニターの液晶ディスプレイの採用がある。本当に小型になった。今までセクター型プローブを採用した場合に技術的な関係で装置が大きくなくてはできなかったものが、それを小さくすることができるようになったことが要因の一つであると思う。ノート型の超音波検査装置でセクター型プローブを使用するなんて今までは思いもよらなかったしね。そして、液晶ディスプレイなんてだめなんて思っていたけれど技術的な部分で改善されているようですね。私もいくつかのメーカーの超音波検査装置で液晶モニターを使用したものを見たけれど、確かに以前あったような映像のブレやモニター全体の暗さ、黒の表現不足などかなり改善されてきているように感じた。
 技術って本当にすばらしいね。

最近タラミ減った

 超音波検査を勉強し始める人を教えるときに使っているのがカップ入りの小パックのゼリーである。できればフルーツ入りで、中にナタデココでも何でも入っている方がよい。だいたい一個120円からあってコンビニエンスストアーなどでも購入可能である。これらのカップゼリーは蓋となる膜は適度に柔らかく、この蓋となる膜と内部のゼリーの間に隙間がなくぴったりとくっついていて、さらにカップ内に入らないガスも入っていない。これを超音波検査装置でみてみるのである。エコーゼリーをべったりと塗ってそこにプローブをのせてみてみるとフルーツやナタデココが見えてくる。どんなものがどんな風に見えるのか結構楽しめる。
 実はこのタラミのゼリーを最近あまり見かけなくなった。通常ならセブンイレブンなどで普通にあったのみ別のメーカーのものに置き換わっていたりする。タラミがよい理由はフルーツの量が多いことだけではなく、比較的フルーツの中のガスが少ないことや、カップの形状がよく上から当てたときのアーティファクトが適当であることなどがある。他の製品の方が仕入れしやすいのか何なのかちょっと残念である。
Jelly
ちなみに、これはタラミではない。
実際にはこんな感じ
Jelly00
パイナップルなんかそれっぽいし、サクランボは種か種があったところにガスが入って、音響陰影が見られている。

OFA

 今日、過去に股関節のX線を読んだことがあるという犬の飼い主から電話がかかってきた。OFAの写真をうまく撮ることができる先生は知りませんか?という質問であった。ちょっとキレそうになった。というよりちょっとキレた。全くこの人はOFAをなんだと思っているのか?OFAのフィルムでうまいへたがあったら診断なんてくそ食らえである。ちまたでは、どこそこの動物病院で撮影するとOFAを通ることができるとかいうことがあるようである。そんなどこがよくてどこがダメなんてあってなはならない。レベルが低すぎである。そういうことに便乗している獣医師がいるということなのだろうか?(だって、ちょっとした力加減でも股関節の緩さが変わるかもしれないしね!ってわけないじゃん!!)とっても不思議である。ある意味、OFAのポジションさえもできない動物病院があるということなのかもしれないね。全くこの世の中どうなっちゃっているんだろう。
いったいどうやって電話番号を調べたんだ?

MRI

Mri
 MRIとは、Magnetic Resonance Imaging いわゆる磁気共鳴画像診断(検査)法ということになる。基本的には磁場と電波を使用して生体の立体の情報をえて、その画像を持って診断するものである。MRIは特に水素原子に注目しその自由度をグレースケールに分布している様なものである。詳しいことは、こんなところで説明できるほど頭は良くないので本で読んでください。
 いずれにしても画像診断では、かなりの部分が原理の理解、いわゆる物理学の理解から始まる。X線検査であれば、X線の発生方法から始まり、放射線についての知識などを含み、写真学に学に至るまで様々な分野の知識が必要になってくる。超音波検査であれば、流体力学や音や振動にまつわる物理学と波形の分析についての知識が必要であるが、装置本体のいわゆる電子部品で組み合わされた部分はブラックボックスでかまわない。コンピュータ断層(CT)検査については、X線検査の知識の延長上と波形の分析についての知識が必要である。ある意味、X線検査の延長上の知識であり理解はしやすいと思う。確かに、全てを知っていなくても十分に読影できるはずであるが、知っている方がより深い画像の理解ねとつながり、正確な読影ができることは確かである。X線検査や超音波検査の部分はニュートン力学から始まって特殊相対性理論までがわかっていれば理解できるはずのものである。E=M×C×Cの数式で示すことができる範囲である。しかし、MRIはちょっと違う。「原子核が回っている」とかそれが「磁石のような働きを持つ」などという今までなかった物理学的知識が必要になってくる。本当に理解するにはいわゆる量子力学の世界や素粒子などの知識が必要になってくるのである。先も言ったとおりこれらの知識がなくても十分に読影することは可能である。でも、MRIはそれだけでは終わらない。スピン・シーケンスやスピン・プレパレーションといったことの調整が必要になってくるのでどのような状態で撮影しているかを知っている必要がある。それでないとそこに見られている画像がどのように撮影されているのか理解できないと、まったく持って画像を理解することができないものである。
 読むだけでもとっても大変なMRIであるが操作することでさえも大変なのである。読む以上に物理学の知識が必要である。もはやMRIの操作に関しては、獣医師がどうこする分野であるとは思えない。ましてや臨床の片手間にやるようなものではない。物理屋さんのような人や技師のようなオペレーターがいて獣医師と話し合いながら検査を進めていくのが利用的な姿であるかと思う。なかなかそのような環境を整えるのは難しいと思うけど。でも、獣医師だけでいろいろやったところでたかがしれていると考えざるをえない。
 はっきり言ってえられた画像の全てについてわかっているわけではない。物理学や解剖学、病理学からそれがどのようなものであるかは予想することはできるが、所詮その程度である。特に獣医学の世界で、その分野の研究は不十分でないことは明白である。MRIは、まだまだ未熟で可能性のある装置であることは言うまでもない。

enthesophyte

enthesophyteとは・・・
 あまり知られていない言葉だけれども、耳で聞いて何となく意味はわかっていたのだけれど、スペル(つづり)がわからなくて辞書も引けなくて困っていた。結局、見つけたのはDonald Resnickの”Bone and Joint Imaging”という本の中である。この本は人の医学向けの本であり、本1冊が丸ごと骨と関節のX線診断について書いてある。この人の書いた本には”Diagnosis of Bone and Joint Disorders“という本がある。これは全部で5巻からなり、内容はもちろん全て骨と関節のX線検査についてである。これは、セットでも売られているが軽く10万円を超えるため手が届かない。この本の著者の中にGen Niwayamaという人の名前が載っている。アメリカではとっても有名らしく、このDr. Resnickとよく本を書いている。あまり情報がないためにどんな人か知らないけれど、多分日本人だろうと思う。こんなところで日本人が活躍しているのを見るとちょっとうれしい。
 結局日本語では何という言葉なのかよくわからない。「靱帯付着部骨棘」、無理に訳すとこんなところなのでしょうかね。意味は見たとおり靱帯の付着部にできる骨増生のことであり、先の本には詳しく書いてある。実際には、靱帯の付着部だけではなく腱や筋、関節包の付着部でも同様の変化が見られることは知られている。関節のX線検査では重要なポイントとなるために、欠かせないことであるはず。しかし、調べた辞書(ドーランドやステッドマン)にも載っていないしそれほど重要視されていないのかもしれないね。読み方もよくわからないけれど「エンシーゾファイト」というらしい。知っていると何かと便利かもしれません。それとも古い考え方なのか・・・
 例えば、関節炎で骨棘が見られることがあるがこれはenthesophyteの形成によるものであることが多い。また、筋付着部で骨が粗造になっていることがあるが、これはenthesophyteに関係している。知っているとわかりやすいのにね。

良い画像診断医を育てる方法 その1

良い画像診断医を育てる方法について考えてみた。まず、人材選びである。やはり向いている人を選んであげなくてはいけない。
1.勘違いした人
 できれば自分は画像を読む特別な能力があると勘違いしている人がいい。でもこれはトレーニングでどうにでもなる。というかトレーニングはこの勘違いを作り出すこと、いわゆる訳のわからない自信というものを持たせるということが重要な部分である。
2.違ったことがしたい人
 とにかく最初から人とちょっと違ったことがしたいと思っている人向けであることは確かだ。「獣医なのに」、直接動物に触らないで、場合によっては見もしないで診断を下そうとするのだから、いつも動物に触っていたいという人には向かない。もちろん外科好きな人には向かない。
3.記憶力を得意としない人
 同じ画像は出てこないし、同じような画像は同じ病気を示しているとは限らないし・・・。そんなわけで画像を覚えても仕方がないので、覚えるのが得な人は能力が無駄になるのでもったいない。
4.重箱の隅をつつかない人・ややアバウトな人
 医学あるいは獣医学に広く浅い知識を持っていること。一つのことを突き詰めたい人は向かない。ある疾患に対して画像をもとに方向性を示さなくてはならないので、しがらみや変なこだわりを持ってはいけない。そのため、医学的な情報を適当に受け流す(いい意味でとって)ことができや様々なプレッシャーにをうまくかわす人がいい。
5.複雑な立場が好きな人
 どの分野だって人とのコミュニケーションがうまくなくてもやっていけない。でもこれは、淡々と診断していて良いのだからそんなに人にごちゃごちゃ言われる仕事ではない。他の獣医師の意見や診断に耳を傾け、それに沿った病気を画像の所見から、その獣医師の意見を尊重しつつも、自分の意見を通すように努力する必要がある。ちょっと複雑な立場なのである。
以上が、ちょっと考えてみた良い画像診断の姿?です。多少、冗談も入っていますが・・・。本当は以下の方がよりいいよね。
6.お金がある人
7.頭のいい人

Bone Identities

Skull
 さきほど仕事(勉強会)から帰ってきた。仕事とはいえこんな頭蓋骨などの骨の山を約1頭分を箱に入れて深夜に持ち歩くのは気持ちのいいものではない。なんかのきっかけで警察に職務質問されたら挙動不審になりそうでできるだけ避けたいという気持ちになる。
 骨格標本を持ちましょう。特にわたしの持っているものは本当の犬(グレート・ピレニーズ)の骨格である。X線読影では骨格標本は欠かせない。特に骨関節系のフィルムの読影は骨に触りながら読むのがいちばんである。今ではいろいろなことで手に入りにくくなって来ているものの、何とかして手に入れてもらいたいと思う。自分でつくるもの方法の一つである。作り方は、ポリバケツを水でみたして、入れて・・・などなどいろいろあるものの今はそれはどうでもよく書きません。
 骨格標本の良いところはいくつかある。まず、骨の細かい変化たとえば筋肉の付着部や栄養孔の形状・位置などX線写真で出てくるわけのわからない線や増生みたいな場所をその部位の骨を触りながら実際どうなっているのかを見て触って確認できることである。よく説明で使うのが橈尺骨間の骨幹腱の付着部であり、この部位のがとても造成しているように見えることがある。また、骨を暇なときに眺めたり触っていると思いがけない骨の形に感心してしまうこともある。よく感心するのは、肘関節の骨の合わさり方である。3つの骨が確かにぴしっと合わさるのである。また、橈骨と尺骨の遠位(手根部近く)で接しているその接し方なんかもちょっと微妙で感心するところである。また、老齢動物の骨格標本だとどんな病気があったのかとか病気の変化を見ることができる。私の持っている骨格標本は、肩の離断性骨軟骨炎や股関節形成不全などがあり、頭部では歯槽骨の感染症などを見ることができる。
 そんなわけで、骨格標本を持ちましょう。でも組み立てたものでは意味がない。バラバラの状態で持っている必要がある。これは、関節の内部構造などを見ることができるのがポイントである。その他に実際に骨をあわせてみて関節の動きの再現などもがんばればできるはず。左右の骨の違いを並べてみることができる。など、バラバラの状態の方がよいことがいっぱいある。
 では、明晩も骨を片手にウイスキーを・・・

頭のX線検査

Head
 読影の中でも難しいのが頭部であると考えている人が多い。確かに認識する構造が多いために頭部あるいは頭蓋骨の各解剖を認識していくには時間がかかる。さらに重なる構造も多く目的とする部位を確認するためにはただ目的に応じたポジションが必要になる。それに、目的としたポジションがとれたにしろ、その中から目的とした構造を探し出すのは難しいことが多い。
 通常ルーチンに必要になるポジションは、ラテラル像とV-D像あるいはD-V像である。頭部のX線検査のときに丁寧に、4方向から撮影してきてくれることが多いけど、2方向で十分である。たぶんそれは「患部をフィルムの近くにいて撮影したほうがよい」なんて言うことをどこかで聞いているからなのか、それとも、別の方向から撮影していくことで何か別のものが見えるかと思うからなのであろうか。頭部に関して読影するときはそんなのどうでもいい。得られる情報はほとんど変わらないし、たぶんそれほど精密に情報を引き出すことはできない。特に頭部の場合には、この程度の大きさに関して拡大効果とか含気部の移動なんてことは必要ないのである。ちなみに、この拡大効果とは、フィルムから離れたほうが拡大して見やすいあるいはぼやけて見にくくなるという効果のこと。そして、含気部の移動とは、肺での左右のラテラル像で転移を確認するために使用するもので、下側に来た肺よりも上に来た肺のほうが含気して、空気のデンシティーと軟部組織のデンシティーの差がでて小さい構造でも確認しやすくなり、転移などの発見には適しているというものである。そんなことから、頭の構造を認識するに関して、ラテラル像でも左右両方は必要ないし、V-D像あるいはD-V像がどちらかあれば十分である。
 しかし、頭部で最も重要なのはポジションである。「正確でなくては読めない。左右対称でなくては読めない。kVpなどの撮影条件が適切でなくては読めない。」のだ。そのためには麻酔や鎮静が必要となることも多い。通常X線撮影システムでもCR装置でも、どんな方法でもかまわないけれども、ポジションが重要である。頭部の読影が難しいと思っているならまず自分が撮影した頭部X線検査のフィルムのポジションや撮影条件を再検討したらどうでしょう。ちゃんととれていれば読影はそんなに難しくないはず。そんなに解剖知らなくても左右の対称性で見ていけばだいたい大丈夫。でなければX線解剖学の本と照らし合わせながらじっくりと時間をかけてみれば、ほとんどの構造は認識できるはず。でもどうしても、もしちゃんとしたポジションがとれないなら、仕方がないから、コンピュータ断層(CT)検査やればいいんじゃなーい。

行ってきました ALOKA テクノロジーフェア2006

 7月20日(木)、私には珍しく初日のALOKAテクノロジーフェア2006に行ってきました。今回の目玉は、なんと言っても場所でしょう。誰がなんて言ったって、六本木ヒルズ40階です。建物がいい香りがします。歩いている人がかっこいいです。ちょっと行きづらいですがそんなことは気にしません。だって六本木なんですから。さてそれはおいといて、本当の目玉は、液晶をメインモニターとした超音波診断装置と動物用の最高周波数13 MHzのマイクロコンベックスプローブ、コードレスプローブと言ったところでしょうか。
 液晶をメインモニターとした装置は、まだ発売前でありました。また、フルデジタル機のようですがドップラ機能はなく、まるでSSD-1000の様な装置です。本体の大きさはSSD-1000をちょっとだけ小さくしたもので、注目の液晶モニターは12.5 inc.でほぼB5ノート型パソコンと同じ大きさとなっていました。利点は知りません、安いのかもしれませんし、多分軽いのでしょう。欠点は、ちょっと大きいのと、モニターの大きさがあまりにも小さい。これからどういう位置づけになるのでしょうか。確かに、これからCRTいわゆるブラウン管のモニターはどんどんなくなっていくと思います。そうなると、液晶のモニターに頼らなくてはなりません。早く液晶モニターあるいはそれに変わる技術進歩を望みます。
 つぎは、動物用の最高周波数13 MHzのマイクロコンベックスプローブですが、まだ生産ラインにのっていないようですので、当分デモはお預けです。しかし、確かに13 MHzはちょっと魅力的で大きな利点です。このマイクロコンベックスというのもGoodです。形状は細いペン型で太いマジックインキのような感じです。先端部はちょっと太くなっていて、そのくびれの部分が4角形になっていて、指で押したような形が付いています。そこに指をあててプローブを持つというものなんですが、持ち方を決められるとちょっとやりにくいような気がします。それから、長さなんですが手で握って少しはみ出すぐらいの長さになっています。ちょっと長いのではないか?ペン型に持っても後ろははみ出てしまいます。ペンだから多分長くしたのでしょうが、寝ている動物の下から押し込んだときに動かしにくそうです。本当に持ちやすいのか?がポイントでしょうか。でも、使っているうちに慣れてしまって、持ち味なんて関係なくなってしまうのかもしれません。
 最後に、コードレスプローブです。ついに出ました。ちょっと前まで夢のような話だったのに・・・本当にできるなんて・・・ちょっと悔しい。デモにあった装置は7*7*10cmぐらいの大きさの箱がプローブとなっていて先端がちょっと出っ張っていてセクター型プローブになっていました。お尻からは細いケーブルが出ていてベルトのつけた発信装置つながっていてさらにもう一つベルトにつけたバッテリーボックス?につながっています。発信装置はこれだけ。受信装置は、無線LANのアクセスポイントのような形状のものになっていて、本体はパソコンのようなもので良さそうです。画像もとぎれることはなく滑らかに動いていました。多分技術の進歩とともに小さくなっていくのでしょう。次回のフェアに期待します。でも、簡単に盗難にあいそうですね。セキュリティーは大変そう、プローブが装置から10m離れたら警報が鳴るなどが必要でしょう。
 新しく出てくる超音波装置はデザインが良くなって来ています。確かにヨーロッパで売っている装置は大変かっこいいのですがね。日本もがんばってほしいものです。
 毎回楽しませて頂いています。それにしても、いつもお世話になっている方々長い間つきあって頂いてありがとうございました。 頂いた記念品は、過去に液晶時計や札入れなどありましたが今回はなんとバッファロー製の256MのUSBメモリーでした。それだけでも行く価値ありか!!

胃の二重造影

Doublecontrast
 アドバイスではするものの胃の二重造影はなかなかやってもらえずちょっと寂しい思いをしてしまうことがおおい。胃の二重造影は、胃の内部の状態を把握する上で比較的手軽だし超音波検査(超音波検査で見えるのはほんの表面だけであとは内容物で隠れてしまう)に勝る方法であるといえる。胃の二重造影はそれほど難しくはない。私は胃の二重造影にバリウムとコカコーラを使用している。犬猫はゲップが下手だしね。とても手軽なので試すといいと思う。用量などはここで書くと問題があったときに困るので各自で直接問い合わせてね。
 で、こんなことを話しているときに「コーラってカフェインが入っていて犬とかに問題にならないのでしょうか?」と質問された。ちょっと「ハッ!」と思った。コーラのカフェインが問題になる可能性があるなんて考えもしなかったのである。個人的にコーラ好きだしね。(正確にはコーク) そこで調べた結果”Caffeine Content Of Popular Drinks”というページを見つけた。よく調べたもので各種日本にないドリンクも含まれている。ここで、コカコーラは12-ounce(缶ジュースの大きさ、換算すると354.882356 ml)あたり34.0 mgであるという。そんなにおおくない。むしろペプシの方が37.5 mgとおおい。では、犬のカフェインに対する中毒量は”The Registry of Toxic Effects of Chemical Substances の中の Caffeine の項目”に載っている。犬で経口でのLD50は140 mg/kg である。猫の経口での最少致死量は100 mg/kg とのことである。通常で大型犬でも1缶全部のませることはないし大丈夫そうだね。めでたしめでたし。一件落着!!でも各ドリンクに含まれる炭酸の量を調べる方法はないのでしょうかね?そうすれば、どのドリンクを使ったときは用量はどれとかいえるのにね。
写真はバリウムとコーラを使用した胃の二重造影で、胃の粘膜がちょっと荒れてますかね。この犬も日々ストレスが多い生活をしているのでしょうか。

難しいね

hod
Rubbish, rubbish!
「ダメダメ」とか「いかんいかん」という意味になると思うけど、実際にはrubbishとはゴミのこと。
It’s a rubbish!
「なんとばかげたことか」と使ったりする。
友人であった内科のレジデントの口癖である。
何事につけても「rubbish、rubbish」といっていた。なぜ2回?
でも実際にはアメリカ人はあまり使わない。彼はオーストラリア人であった。イギリス人も使うのか?
最初何言っているのかぜんぜんわからなかった。まあ、たいがいのオーストラリア人のしゃべる英語は理解するまでに時間がかかるものである。でも響きがおもしろいので知らずの内に覚えてしまった。意味も何となく後からついてきて、つい最近になってネットで調べたぐらい。だいたい当たっていた。
X線の読影で実に困るのが「これは何ですか」という質問である。X線写真に写っているちょっとしたものが気になるというのである。でしかも何で写っちゃったか知らないけれどどうしたらいいのかとかいうことが通常の内容である。こういったものは誠に申し訳ないけれどもこちらでも答えがないことが多い。10中8か9はわからない。でもわからないとは言いたくないので「あーではないかとかこーではないか」といろいろ思いを巡らせているふりをしてごまかすのである。たまに経験上こんなのではないかという答えが出ることがある。しかしそれはごく希なことであり、そんなことを期待してはいけない。いやでもそれを期待している人が多いのかもしれない。多くの場合、これは「じゃあもう一回撮ってみようか」とか「ちょっとポジション変えて撮ってみようか」とが「撮影方向変えて撮ってみようか」とか言った単純なことで解決できることがあり。でもほとんどの場合もう動物はその場にいないし次撮る機会もいつあるかわからないと言う状況であることが多く、どうしようもできない。これができるととってもいいんだけれどね。だからちょっとでも疑問に思ったら撮り直ししようよ。
写真は(肺性?)肥大性骨症。中手骨背側や橈骨頭側の骨膜反応や手根関節には変化が出ていないことが特徴的。胸部のX線検査をしましょう。

3日めのセミナーを終えて

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 どうにか3日目のセミナーを終えることができた。以前同様反省点は数多くある。その中で際立っているのが時間配分である。やる内容をもり込みすぎているのか時間が足りない。それ以外にもglitchは言い出すときりがない。
 さらに今回は決定的なことがわかった。実は日本動物病院看護学院は今年2月をもって閉鎖することになった。では3月に行なわれるセミナーはどうなる?なんと2月に1日でやってしまおうというのである。なんともひどい話しである。もう最後だからってどうでもよっくなっちゃっていのるであろうか?という感じである。「急に決った話しである」とは言え今一つ納得いっていないのである。このような状況でモチべーションを高く維持できるわけがなるいのである。まあ私のモチべーションなんてこの世の中でさてし重要ではないので、ただ淡々とやるだけなのである。
 さて次回は心臓である。しかも1日でやらなくてはならない。朝10時から夕方4時半までで、2日分の内容をやらなくてはいけない。困ったことに時間が足りないと思う。ただでさえ時間が足りないのに、1回分を約2時間でやらなくてはない。時間配分が非常に難しくなってしまう。来月に向けて考えなくてはならないねえ・・・
そんなわけで、超音波セミナーはなくなってしまう。さて次はどこでこんなセミナーやらうかなー・・・
写真は水頭症。両側の側脳室が拡張している。

セミナー3日目を前に

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 さていよいよ第3日目の超音波セミナーが近くなりました。内容は前立腺や子宮、卵巣、副腎、消化管、リンパ節などとなります。実際には1日でカバーするのは大変な量となっている。今更になって眼と脳、バイオプシーをどうするかと悩んでいる。前回までは心臓の1日目と重ねてやってしまったが、今回はカラードップラーの話も加えようと思っているのでしているので時間がなくなるかもしれないので、できれば今回やってしまったほうが良いような気がする。あれもこれもと考えると5回では十分な時間とはいえないなとつくづく感じてしまう。でもステップアップとは言いつつも入門コースのつもりだしね、まあいいかなと納得しましょう。テキストの作成とスライドの作成を同時進行しながら内容を同期させつつやろうとすると時間が無くなる。焦ると誤字脱字がおおくなり全く持って読みにくい集中力が無くなってしまうような内容になってしまう。本当に困ったものです。そろそろやり方を変えなくてはなあとも思う。でもいずれにしても超音波検査をやってて楽しいなあなんて思ってもらえるようになればいいんですがねえ・・・
 写真は腸管穿孔の症例です。

X線読影のお勉強

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 最近つらつら思うに、今までのX線読影の教育方法は十分ではないのではないか。基本的な読影の方法として、1.X線写真の判定(撮影の状態や動物のポジションなど)、2.異常所見の発見、3.鑑別リストの作成、4.プランの作成といった流れがある。この部分で1.の部分は努力次第でどうにかなる。しかし、2.の異常所見の発見の部分が問題になる。ここの部分を教える時は典型例や特殊例といったようなものを中心にほんの数症例を見てもらうだけになる。しかし、例えば心臓性の肺水腫の基本となる写真を見ても典型例や特殊例だけでは多様な状態を示す心臓性の肺水腫の写真を理解するには十分ではない。で、考えたのがほんの数症例を見せるのではなく数多くの症例を見せて解説していくというもの。典型例でも特殊例でもなくいつも見ている通常の症例を数多く見せて解説していく。そうすれば多分嫌でもそんな症例に「慣れる」あるいは「理解できる」、「開眼する」のではないかと思う。「Heavy Load作戦」とでも言いましょうか。相手が消化不良で知識の下痢を起こすくらいの圧倒的な症例数で押しまくる。居眠りして起きても「まだやっているよ」みたいな。実際にどれぐらい見せれば有効なのかフィルムの解説をどれぐらいまですれば良いのかなど考えるときりがない。でもこれの欠点は、相手がついてきてくれそうもないと言うことなのでしょう。
 現実問題、必要な時間や集めなくてはいけない症例数など不確定な要素はいくつかある。本当に効果あるかどうかさえもわからないけれどやってみる価値はあるかな。
ちなみに写真はホッカイロを食べたっていう症例
寒さが厳しい時節、ホッカイロの扱いには注意しましょう。食べても問題はないようです。でも塩分が多いって書いてあるけど・・・
鉄粉はきれいに写りますね。